犬夜叉考察 19
四魂の玉と龍の玉
先日荒俣宏著「絶(たえ)の島事件」を読んだが、その中に「大織冠(たいしょかん)」というおもしろい話が引用されていた。

中臣鎌足が唐の皇帝から贈られた龍王の玉を日本に運ぶ途中、龍王の軍団に追跡されて玉を奪い返された。
この時、鎌足は一人の海女に頼んで、海底の玉を龍王から取り返そうとした。
海女は首尾よく玉を取り戻すが、海面に上がる前に龍王の追っ手に襲われた。

しかし海女は、自らの胸を切り開き、その玉を中に押し込んで隠した。
海女は死んだが、その胸の中に玉は残り、玉を取り返した鎌足は「大織冠」という職を賜ったという。

もう少しはっきりした内容を知りたいと思って鎌足に関する本を2,3読んだが、そこにはついていず、「大織冠伝」という本自体も出ていないらしい。

「大織冠」では龍の玉を守り、危機に陥った海女が自らの胸(心臓部)に玉を隠す。
「犬夜叉」では妖怪たちに追いつめられた巫女が、最後の力を振り絞って妖怪たちの魂をとり込み、自らの魂と共に四魂の玉としてはじき出す。
四魂の玉は翠子の心臓にくるみ込まれるようにして存在していた。

全く異なる話ではあるけれど、どこか似た雰囲気を感じて、我知らずときめいてしまった。
「犬夜叉」のおもしろさはここにもある。
高橋先生が公式に発表されない限り、答えの出ないことではあるけれど、たとえば言霊の念珠と「西遊記」で孫悟空がつけられた「緊箍(きんこ)」、福井県にある「肉づきの面」など、もしかしたら、高橋先生がそこからイメージして作った?と考えたり調べたりするのは本当に楽しい作業だった。

また、ファンとしては「○○のモデルは○○です!」と断言するのでない限り、「日暮」かごめと「音無」響子の苗字は伊東の伝説から取ったかも?とか偽水神同様本物の水神(女神)も実は蛇の化身だったかも(金蛇水神社の伝説より)?など想像するのも楽しい。
この楽しみもまたなくなるんだなあと考えると、やはりせつないものあがる。
(2008年6月13日の日記)

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