少佐に関するレポート
7月22日 少佐の情熱的なスパニッシュ・ナイト 「9月の7日間」感想 5
「少佐の情熱的なスパニッシュ・ナイト」と書いて「少佐の一世一代の不覚の夜」と読む。
仔熊のミーシャと1対1で飲み合って、相手を先に酔い潰そうとするものの、互いに泥酔、大喧嘩の果てにウェイターに大事な「ルビヤンカ・レポート」を渡してしまう。
誰も少佐に「アラスカに行け!」と怒鳴らないのが不思議なほどの大失敗。

そういえば少佐ってKGBに誘拐されて潜水艦に乗せられたり、今回の「ルビヤンカ・レポート」に関しても、伯爵や仔熊のミーシャのせいとはいえ、結構ミスが多い。
でも誰も少佐に対してどうこう言わないのは、少佐が自分の失敗は自分できっちり取り返す根性と能力の持ち主だからだろう。
(怖くて誰も言えないのかもしれないけど・・・。)
書かれてはいないけど、少佐はアラスカどころか、もっと厳しく自分を律しているはず。

そんな今回の少佐だけど、読者としては滅多に見られぬ乱れた?少佐に「可愛い♪」とここでも目がハート。
はっきり言って仔熊のミーシャの酔いどれぶりはどーでもいい、みたいな(笑)。

可哀そうなのがスエラ「アルカラ」のマスター。
強面(こわもて)2人に居座られて、お客さんは居つかないわ、飲んだくれて喧嘩して、店の中を荒らし放題にされるわ。
ここで伯爵がウェイターに変装して居座ったのが、実は救いとなったかも。

最初は白々しくも、相手をほめておだてて酒飲ませ作戦。
「ここだけの話 実はおれはあんたを尊敬しているんだぜ」by少佐。
「いや君も若いのによくやるとつねづね感心しているのだよ」byミーシャ。
不毛の会話とされているけれど、意外と本音の部分では真実なのかも。
いつも互いを倒す、あるいは出し抜くために全力を出し切る少佐とミーシャだし。

続いてはおつまみにかこつけた「ブタ(猪もどき)の串焼き」vs「ゆでダコ」けなし作戦。
ここでミーシャが少佐の過去を暴露、少佐が学生時代「イモ・クラウス」と呼ばれていたことまで言ってしまうが、さすがにシスター・テレサの名前は出ず。
少佐のあまりに大切な思い出だけに、ここでシスター・テレサの名前まで出してしまえば洒落にならないとミーシャが自制したか。
というより青池先生の判断でさすがのミーシャも知らないことにされたのだろう。

対する少佐はミーシャの奥さんの一週間の○○遍歴披露。
ここはNATOって凄いって感心するより、なんでそんなこと知る必要が?と目が点になってしまった。

その頃少佐とミーシャの部下たちは、ボーナム君も交えてシリアスに、かつのどかにカーチェイス。
番外編「Z」を髣髴とさせるZの逃げっぷりにボーナム君も感心しきり。

そんな部下の苦労も知らないで、先に実力行使に出たのはミーシャ。
ミーシャにお酒をかけられた少佐も反撃する。
私も経験あるけれど、飲んだ後で騒げば騒ぐほど、酔いの回りは速いし記憶は飛んでくし、二日酔いはひどくなる。
しかもウオッカとジンをボトル1本半あけての大喧嘩となれば、翌日の地獄は読む前から目に見える。

とはいえ、初読当時はまだお酒を飲んではいけないお年頃だったから、少佐がミーシャをノックアウトして溜飲を下げるものだとばかり思っていた私(笑)。
大迫力の殴り合いから、えぐいおじさんの罵り合いにまで発展?した少佐とミーシャがこの後どうなるかは次回のお楽しみ。
(2008年7月22日の日記)
6月23日 少佐の聖域 尼僧院 「9月の7日間」感想 4
少佐が操縦する飛行機はスペインアラゴン地方の尼僧院に不時着する。

スペイン政府観光局オフィシャルサイト」 によると、実際に「サン・ファン・デ・ラ・ペーニャの修道院」が存在するが、作品に登場する尼僧院とは全然違う建物。
伯爵が喜ぶ?修道院ではなく、少佐の聖域尼僧院としたところが青池先生の遊び心か。
ちなみに少佐が目指していたサラゴサはアラゴン州の州都。
この辺は当然スペイン語を話していたはずで、少佐も伯爵もローカルな尼さんや村人たちとの会話に何の支障もないところが凄い。

尼僧院の院長の相手は少佐に任せて「紫を着る男」を必死で探す伯爵だが、当然そこにあるはずもなし。
一方少佐も、一番近い町まで80キロの現実にどよ〜んと落ち込み。
電話や車はもちろん、ラジオさえないその状況だが、実際はどうなのだろう。

居心地の悪い伯爵とは裏腹に、作り笑顔が怖い少佐は早くもこの状況に馴染み始める。
ジェイムズ君で粗食には慣れてるはずの伯爵も絶句の清貧さだが、ここでも少佐はサバイバル慣れ。

仲良く?ワインを分け合うと思いきや、少佐の痛烈な仕返しが待っていた。
さすがにアラスカで狼に囲まれながら1本のスコッチを分け合った時とは違って余裕がある少佐。
どうでもいいことだが、少佐が着ているシャツの皺に魅せられてたな、あの頃(笑)。
でもって友達のSさんは少佐の手に夢中だったっけ。
彼女は今頃どうしているだろう・・・。

やることなすことが裏目に出て、慈愛溢れる院長にはマザコン扱い、意外にミーハーな尼僧たちにモテモテの少佐におもしろくない伯爵。
少佐も力自慢を利用されてタンスの移動とほとんど動物園の猪扱いな視線にさらされる。
でもタンスを抱えて冷や汗かいてる少佐が素敵。

任務を抱えた少佐は伯爵を置いてけぼりに、麦藁帽子に弁当抱えてさっさと出発。
慌てて後を追う伯爵もだが、辺鄙な場所の割には通行人が多い。
(親切なお百姓さんとかコーラの運び屋さんとか)。
馬を見れば一目でどこの馬かわかるという仲の良さ?

おまわりさんまで現れて(80キロ自転車で走って来たのか?)、忘れ去られていたハイジャック→不時着騒ぎが再開するが、もはや少佐にも伯爵にも関係のないこと。
少佐はすでにスエラという町で部下が迎えに来るのを待っていた。
ところが部下より先に現れたのが仔熊のミーシャ、そして酒場の「ウエーター」に変装した伯爵。
3すくみで「情熱的なスパニッシュ・ナイト」がいよいよ始まる。

今回のときめきシーンは馬がなついてる少佐とか、ジェイムズ君の名前で伯爵に馬の使用料を払わせる少佐とか、バスの中で可愛く眠り込んでる少佐とか(笑)。
これまでは様々なアクシデントに巻き込まれながら、それなりに自分のペースを保ってきた少佐が、次回は初の大失態をやらかしてしまう。
それは誰のせい?もちろんミーシャと伯爵のせい。
がんばれ、少佐!がんばれ、A君!
(2008年6月23日の日記)
5月23日 少佐の誕生日 「9月の7日間」感想 3
5月15日は少佐の誕生日。
独身時代は友達や妹達と、優雅にケテルでお食事したり、アルテリーベに飲みに行ったりしてお祝いしたものだけど、ここ数年は花、ドイツビール、ドイツワイン、ソーセージ、ケーキ、プリッツェルなどの中からいくつか買って、家でひっそりお祝いしてた。
主役(少佐)不在の誕生日。

ところが!
今年はすっかり忘れてました(T_T)。
怒髪天を突く少佐の顔が見えるようです。
お詫びにアラスカへ行って来ます!
涼しくなったら帰って来ます、まん丸になって。

それにしても少佐は若い。
初めて見た時から永遠に年を取らないNATOのサザエさん。

さて、変装した伯爵の協力で行動開始した少佐。
眠り込んだ機長に代わって操縦桿を握る。
「ドイツ機はドイツの空を飛びたいんだ!」
さすが少佐の名台詞。

伯爵は少佐が操縦できることを知ってたのか。
A君あたりから情報を仕入れてたのだろうか。

伯爵を人質に取られては少佐も犯人たちに従うしかないが、犯人たちの無知をいいことに、目的地をエストニア共和国のタリンからアムステルダムに変更する。
ルビヤンカ・レポートを所持している少佐を人質にし、「鉄のクラウス」を知っていて、ソ連の空軍基地へ向かおうとする、その時点でKGBであることを隠す気なんて全然ないんだな、と思っていたら、一応ごまかしてるつもりだったらしい。
銀のオーロラ、緑のたぬきほどじゃないけどちょっと間が抜けてる。

機長に代わって無線で応答する少佐も見所のひとつ。
ですます調で話す少佐なんて滅多に見られるもんじゃない。
相変わらずハチャメチャしながらも抜け目なく状況を読む外交官の正体に気づかない少佐もちょっと不思議。
意外と素直な性格なのかも(笑)。

シャルル・ドゴール空港で燃料補給の予定だったが、律儀に伯爵のみにベルト着用の合図して(そんなところが好きだ)、魅せてくれたのが見事なタッチ・アンド・ゴー。
芸術以外で少佐にできないことはない。
形勢逆転でKGBも全員捕縛。

燃料が足りない少佐は「少佐の聖域」修道院の前に不時着することになる。
その前に伯爵の正体もばれて危うし伯爵。

この時期も伯爵はどこか目が素通りしていて、少佐ばかりを目をハートにして読んでいた記憶がある(笑)。
当時の私にとって少佐は素敵なお兄さんだったから、することなすことみなかっこ良く見えて。
少佐の世界にいる限り、私も永遠の20歳でいれるかな?
(2008年5月23日の日記)
4月24日 ハイジャック 「9月の7日間」感想 2
ロレンスからも巻き毛からも解放され、愛しのルフトハンザに乗り込んだ少佐は幸せいっぱい。
2時間19分のフライトで無事ドイツに帰国のはずだった。
ところが少佐の乗った飛行機がハイジャックされる。
よりによって鉄のクラウス搭乗飛行機を乗っ取るなんて、なんて不幸なハイジャック犯、と思ったら、少佐を狙うKGBの仕業だった。

ここでなんとなく気になったのが、少佐に隣りに座っている哀れっぽい?人。
12巻「笑う枢機卿」でZ以外の部下全員をアラスカ送りにしてしまった少佐は、仕方なく自らソ連大使館のイワノフ書記官を尾行する羽目に。
イワノフは少佐の部下で言うならG程度の小物で、少佐の存在自体が威嚇となり、任務も果たせず帰ることになる(番外編「ロレンスより愛をこめて」参照)。
どう見ても同一人物(笑)なのだけど、あまりの恐怖に少佐の記憶を脳から消し去っていたとか、少佐もあまりに小物で記憶にないとかで、12巻では初対面扱いになったのかなあなどと深読みしてしまった。

まだまだ少佐も若かったのか、妙に落ち着き払っているとことか、逆に騒いで目立ってしまうとかで結局マークされてるのがおもしろい。
犯人の方も「同志」という使ってはいけない言葉を使ってしまうとか結局バレバレ。
でもここで落ち着き払っている少佐がまたかっこいいんだよなあなどと目をハートにしたものだった。
(今読んでも目がハート♪)

一方少佐を空港に迎えに来た部下A、Z、B、Gその他がハイジャックのニュースを知る。
相変わらず真面目で麗しいZに相変わらず真面目で律儀な部下A。
少佐の心配より犯人の心配になるところがらしいというか。

「紫を着る男」を追って来た伯爵たちもハイジャックのニュースを聞きつけ、ビジネス・ジェットを盗んでハイジャック犯の目的地オスロに向かう。
イギリスのテロリストを名乗るハイジャック犯、その実体はKGBのコードネーム「銀のオーロラ」はイギリス政府に要求を突きつけるが、それも本当の目的(少佐の確保とルビヤンカ・レポートの奪還)を隠すため。
たまに出てくるNATO軍のムンク少佐まで加わって騒ぎもどんどん大きくなっていく。

少佐救出に駆けつけた部下たちと伯爵一行が合流。
「Zは後ろの方へかくれとけ!(きりっ)」が凄い、さすが少佐の部下A。
でも真面目がとりえのA君が伯爵にかなうわけもなく、その脅迫?に屈して少佐に内緒の両者の協力が再び実現。
身代金を届けに行く英国大使館の書記官を眠らせて、代わりに変装した伯爵が機内に乗り込む。

紅茶を差し入れに持ってきて、それを飲ませることを認める優しさ?も当時はともかく今読むとちょっと甘さを感じる部分か。
紅茶の中には眠り薬、少佐には伯爵(書記官)からの作戦を記した空のコップを渡す。
この伯爵の作戦が不思議というかよくわからないんだけど。
人質を眠らせ、行動を起こしやすくするのはわかる。

でもその後少佐がどう動くかは想像つかなかった。
伯爵の、いわゆる「足手まといは眠らせた、後は少佐にお任せ大作戦」が吉と出るか凶と出るか。
伯爵がトイレに立ったのをきっかけに、少佐がいよいよ行動開始する。
(2008年4月24日の日記)
3月24日 少佐の素敵な7日間 「9月の7日間」感想 1
「9月の7日間」というタイトルがなければ、少なくとも1ヶ月はかかったのではないかと勘違いしてしまうほど凄まじくハードな少佐の任務が幕を開ける。
コミック8巻から10巻(10巻には番外編が含まれるが)と3冊にわたって繰り広げられる、時にはシリアス時にはドタバタなエピソードで、少佐のかっこ良さ&可愛さが爆発。
同時に伯爵により、これまで明かされなかった少佐の私生活の秘密が明らかに?

まずは8巻、カラーの表紙の軍服少佐と次ページの髪かき上げ少佐に目がハート♪
この時期の少佐は若すぎず老けすぎず本当にかっこ良かった。
(当時の)純情乙女の恋心をくすぐる、なびく髪とか煙草を持つ手とか、ほんとに頬を染めてたからな(笑)。

前回サバーハ編でロンドンに滞在中の少佐、話はそのままなだれ込む。
少佐の知らないところで伯爵vsサバーハの壮絶な絵画盗み合戦があったのだが、少佐の頭は帰国で一杯。
はた迷惑なおちゃらけロレンスにビールをおごるほどの機嫌の良さを見せる。
しかしその前に少佐がロレンスの上司、英国情報局(SIS)のミスター・Lから受け取ったのは「ルビヤンカ・レポート」。

ちなみに「ルビヤンカ」とはWikipediaによるとKGB本部の別称であり、またモスクワのルビャンカ広場にあるKGBが管轄する刑務所をも意味する。
1918年にチェーカー(レーニンによりロシア革命直後の1917年12月20日に人民委員会議直属の機関として設立された秘密警察組織)が本部を置き、それ以来国家保安機関の中心地とされているそうだ。
現在、ロシア連邦保安庁の本部庁舎と逮捕したスパイを収監する監獄が存在するとか。

KGBの解散後、ルビャンカは後にロシア連邦保安庁(FSB)本部となり、加えて、KGB博物館が大衆に公開されたという、見に行きたい(ミーシャと白クマに会えるかも)。
KGBに敵対する者にとっては恐ろしい場所で、この記事を読むだけで現在の「喧嘩するほど仲がいい?」少佐とミーシャの当時の関係のシリアスさが切実に迫ってくる気がする。

5年間KGB本部で要職についていた西側情報機関のダブル・エージェントがKGBのすべての部局を詳細に分析した報告書をSISに提出した、それがルビヤンカ・レポート。
調べようと思っても全て「エロイカより愛をこめて」に絡んでしまうので確信はないが、これはおそらく青池先生が作り上げた架空の産物だろうと思う。
実際には同じような物はあったかもしれないが。
ただしこのルビヤンカ・レポートの概要が明かされるのは話がだいぶ進んでから。

そもそもルビヤンカ・レポートとは何か、何故鉄のクラウスに託されたのか、少佐が巻き込まれてしまった事件との関係は?といくつかの謎が交差し、同時に「紫を着る男」を狙う伯爵も絡んでぐいぐい読ませる、本当におもしろい。
「エロイカより愛をこめて」好きなエピソード投票があったら、これに1票投じるかも(他にも大好きエピソードが多々あるため断言はできない・・・)。

けれども最初は暢気に始まる少佐1日目の朝。
これでやっと巻き毛にもロレンスにもお別れだとくつろぐ少佐だが、部長から「ついで」の「使い走り」の任務の追加が。
可愛いドレスのお人形のスカートめくり、甘い甘いチョコレートケーキとココアの解剖と強制される3時のおやつ。
巻き毛(女性は大丈夫らしい)の美人と偽デートと三重の責め苦の後、やっとミスター・Lとの面会が叶う。

このミスター・L、ロレンスの上司だけあってコーヒーに砂糖20個の超ロマンティストの肥満体。
最近「DEATH NOTE」にハマり、L(細身の青年、見てくれには無頓着)にハマっただけに、2人のLを比較して爆笑してしまった。
無類の甘党なんていうとんでもない共通項があるのもおもしろい。
まさか作者がエロイカファンで、なんて妄想したくなるのも無理はない?

少佐が留守の間を狙って少佐の部屋に忍び込んだのが伯爵。
少佐の愛読書?は「健康家族」で伯爵は「壮快」。
下着は白で、浴室以外では決して裸にはならない(たとえ1人きりでも)。
旅行であってもパジャマは持参、ハンカチやワイシャツはとりあえず2組持参。

靴下はつくろって(執事さんがつくろうのだろうと伯爵推理)使うなどドイツ人らしくもの持ちがいい、などなど。
次回は少佐が乗った飛行機がハイジャックされるところから始まる。
(2008年3月24日の日記)
2月19日 サバーハ登場 「ミッドナイト・コレクター」感想
「エロイカより愛をこめて」を読み始めてから読んだ「イブの息子たち」、硬派の少佐に惚れてた私にはあのきらびやかな世界は受け入れにくく、よくわからない漫画だった。
その後何度か読む機会もあったが、子供の頃ほどの拒否感はなかったにしろ、やはり苦手な部類に入る。
そんな中好きだったのがヤマトタケル、マホメット、高杉晋作の黒髪トリオ。
アクの強いキャラ揃いの中、比較的ノーマルな感性の持ち主だったと思う。

「ミッドナイト・コレクター」で登場したサバーハを見て真っ先に思い出したのがこの3人組、懐かしい。
ただこのエピソードの中では主役は伯爵とサバーハで、少佐も登場するが脇役扱いのせいか、作品としての印象は薄い。
というよりサバーハが苦手なタイプなので、ほとんど読み流していたのかも。

今回はよりによってグラスファイバーの花束持って少佐宅に行った伯爵とジェイムズ君のその後から始まる。
少佐の八つ当たり鉄拳制裁?喰らったのはジェイムズ君、見事逃げおおせたのは伯爵。
人並みに?入院したジェイムズ君に安物の造花ともものかん詰め、くさったバナナを持ってお見舞いに行く伯爵。
ジェイムズ君を病院に閉じ込めておいて、狙う獲物はジョルジョーネの「若い牧人」。

伯爵にとっての苦い想い出がここで描かれる。
このジョルジョーネの「若い牧人」、本当にあるとばかり思っていたがそうではないらしい。
ジョルジョーネ自身は実在するイタリアの画家で「嵐」「眠れるヴィーナス」といった作品を残したことで知られているそうだ(Wikipediaより)。
青池先生の絵があまりに綺麗で一度は本物の「若い牧人」を見てみたいと思っていた私の夢、ここで壊れた(涙)。

ちなみにラファエロの「森の中の天使」も見つけることができなかった、これもオリジナル?
そんなこんなで伯爵とサバーハが協力し合いの化かし合いをドタバタ喜劇で演じている頃、少佐はロンドンでロレンスと巻き毛に悩まされる。
どさくさに紛れて売りに出そうとした少佐のご先祖様の?ティリアン?こと「紫を着る男」もさりげなく絡むけど、少佐が最後の最後まで伯爵の存在に気づかないところがおもしろい。
伯爵はサバーハと少佐が似ている(性格)と思っているらしいけれど、絶対違う!と怒った記憶もあるな、懐かしい。

今回は執事さんも少佐のお供でロンドンに出てきて得意の眼力?で大活躍。
あの伯爵に冷や汗をかかせる。
今回のエピソード、最強キャラはロレンスか執事さんか、それとも「紫を着る男」か。

一応「ミッドナイト・コレクター」は1話限りで終了だが、8巻「9月の7日間」には少佐のロンドン滞在の状態でなだれ込む。
「9月の7日間」は私が「エロイカより愛をこめて」の中でも特に好きなエピソード。
絵もこの頃の雰囲気が一番好き。
今回脇役に回った少佐もいかにも少佐な大活躍で、今すぐ感想書きたいくらい(笑)。

「ミッドナイト・コレクター」のベスト台詞は最終ページ、少佐があわや伯爵かサバーハの物になるはずだった紫の男の絵に語りかける

「まわりの騒ぎも知らんですかした顔しやがってまあ・・・・・・
 あんたおれたちをおもしろがっとるのかね」この台詞。

ドイツに運ぶために厳重に梱包した絵を気軽に破る少佐が楽しい。
少佐はこの絵を見て自分に似てるとは思わなかったのだろうか・・・。
(2008年2月19日の日記)
1月15日 人気のない森の中、少佐と車で二人きり 「グラス・ターゲット」感想2
「グラスターゲット」後半もサスペンスありアクシデントありで盛り沢山の内容だけど、なんといっても見所はタイトル通り「人気のない森の中、少佐と車で二人きり」。
夢のようなシチュエーション(笑)。
実際は車の中で一緒にいるのは「EC博」に爆破予告を送りつけてきたネオ・ナチスの一味。
のらりくらりと追及をかわすしぶとい男も寝不足で殺気立ってる少佐の前では形無しだ。

コミック7巻67ページ、くわえ煙草で取調室に入って来て
「ほう えらそうな兄ちゃんだな」に始まり、70ページ「さてぼうや・・・・・・(ボキッ)」までの少佐に目がハートで何度読み返したことか。
硬派な男の硬派なストーリーで一番気になる部分がこことは我ながらミーハーだ。

ネオ・ナチスの存在に気づかない伯爵も絶好調で少佐の邪魔に走り、その気がなくてもロレンスの邪魔っぷりも見事。
白クマもちょこちょこ出てきて少佐や伯爵をつつき回るうちに、4人は狙われた宝冠に引き寄せられて行く。
当時の伯爵の部下が多いことにも注目だが、ジェイムズ君のどケチぶりも今読み返せばまだ可愛いまだ清潔。

偽の爆破で失敗した伯爵が宝冠に仕掛けをし、修理に呼ばれてやって来たのはネオ・ナチスの一味と女装した伯爵。
互いに知らない者同士が協力して無事に爆弾がセットされてしまう皮肉。
正直言えば、この頃の伯爵は私にとっても敵だった。
作品として楽しむよりも、少佐のために怒りまくっていたような。
若かったな、当時の私。

そしてクライマックス。
軍事機密のグラスファイバーのケースに入った爆弾付きの宝冠と共に地下の金庫に閉じ込められた少佐と伯爵、白クマにロレンス。
上ではエリザベス女王とシュミット首相が世界中の注目を浴びて宝冠登場を待っている。

イギリスとドイツ両国国家の吹奏を真っ白になって聞く少佐。
「伯爵 爆弾を取れ!」
少佐の命令に伯爵が爆弾をはずそうとするがかなわず、少佐に交代。
ドイツを支える露英同盟の図は麗しいが、よくよく見ればおじさんばかり、狭い部屋。
密着度も最高だが、さすがに喜ぶ余裕も嫌がる余裕もないらしい。

やっとのことではずした瞬間、少佐はガラスケースに乗ったまま上昇し、世界が見守る中シュミット首相とご対面。
この後の首相と少佐のやり取りもかっこ良くて、さすがは少佐、さすがは首相。
少佐の中ではシュミット首相の株もさらに上がったに違いない。
「情報部の人間は公の場に出るべきではないのだが」って思いっきり目立ちまくりのいい男。
見たかったな、私も(笑)。
首尾よくその場を取り繕って退場した少佐だが、地下に残っていたのはロレンスだけ。
白クマと伯爵はとっくに逃げた後だった。

疲れ果てた少佐が自宅(お城)で休んでいる時、大嫌いな「グラスファイバー」でできた花の鉢植えを持ってやって来たのは伯爵とジェイムズ君。
燃え盛る火に油を注ぎに来たとも言えるが、この続きは次回「ミッドナイト・コレクター」で語られることになる。

ちなみにシュミット首相の在任期間は1974年(昭和49年)から1982年(同57年)まで。
「グラス・ターゲット」が発表されたのは1981年(同56年)となる。
風貌に似た硬質な政治家としての顔と愛妻家で芸術を愛するロマンティストな顔を合わせ持ち、ヘビースモーカーとしても有名だったらしい。
1918年(大正7年)生まれで現在90歳!だそうだ。
(2008年1月15日の日記)
12月3日 グラスファイバーの思い出 「グラス・ターゲット」感想1
昔々の話、心ひそかに憧れていた先輩は陸上部で棒高跳びの選手だった。
当時はまだ「エロイカより愛をこめて」を知らなかったが、後で読んだ時に胸にきゅんと蘇った甘酸っぱい想い出、それがグラスファイバー、「グラス・ターゲット」。
幸いその先輩は図書委員で私も図書委員、それなりに可愛がってもらった記憶もある。
卒業後は一度も会うこともなかったけど、今頃どうしているんだろうか。

ちなみに体型は棒高跳びより柔道着が似合いそうな、首から下は仔熊のミーシャ、やたらごつい人だった。
残念ながら、少佐はこの「事件」を機に、グラスファイバーが大嫌いになってしまったのが哀しいけれど(笑)。

さて、今回の伯爵&ジェイムズ君のターゲットは英国王室秘蔵のビクトリア女王の宝冠。
しかもそれが西ドイツのケルンで行われるEC博で展示されることに。
少佐の縄張りにあえて踏み込むエロイカ一味だが、同時にKGBより白クマ、SISよりチャールズ・ロレンスが邪魔?しに現れる。

本来ならば、軍事機密専門の少佐は管轄外。
しかし、宝冠の写真にエロイカの気配を感じたのと、後に出てくる大変な事態のために、否応なしに関わる羽目になる。

最初は「特別休暇命令」に関する部長たちの企みがばれ、少佐と顔つき合わせての陰険漫才。
なんだかんだで負けてない部長も凄い。
さりげな〜くもててる少佐も凄い。
試写とはいえ、「カリギュラ」見ている少佐はもっともっと凄い。

そしてロレンスと少佐の初対面。
少佐の感想は「こいつも相当アナクロっぽいぜ」ですんでいる、まだ。
ちなみに、この「アナクロ」の意味がよくわからなくて調べてみたら、「時代錯誤」の意味だった。
後で「こいつ(ロレンス)と伯爵のおかげでジョン・ブルはもっときらいになりそうだ」と言ってるが、この「ジョン・ブル」もわからなかった。
調べてみたら「擬人化された典型的イギリス人像」だそうだ。
「典型的なイギリス人」とでも思えばいいのだろうか。

「エロイカ―」ってけっこう難しい政治用語や知らない言葉がバンバン出てくるので、きちんと読まないとストーリーが把握できず、少佐の面白いとこだけ読み流していた気がする、当時は。
でもこのエピソードは単純明快、しかも伯爵を毛嫌いしつつもその性格を知り尽くしている少佐がロレンスを通じて罠にかけることから話はさらに混乱する。
偽の情報を流し、KGBまでが協力して伯爵を送り込んだのはイラク。
戦火のイラクで騙されたことに気づいた伯爵の仕返しが、またえげつない。
こちらも少佐が一番嫌がることを知り尽くしているようだ。

「そいつは私の趣味や性格をよく知った上で私が引っかかりそうなエサを作れる人間だ
 そしてうあたらと大がかりな事が好きで あくどいいやがらせを平気でやれる歪んだ性格の持ち主」なんて言っている。
見事に当たっているところがまたおかしい。
そのまま伯爵にも返せそうだけど。

ところが、伯爵を追い払って一安心の少佐にまた新たな難題が勃発する。
宝冠のショーケースに、軍事目的に開発中のグラスファイバーが使われてしまったのだ。
宝冠狙いの伯爵、KGBはもちろんSISにも隠し通さなければならない極秘事項。
今度こそ生粋のドイツシェパードに番犬としての任務がやってくる。
(2007年12月3日の日記)
11月2日 シスター・テレサ 「特別休暇命令」感想2
「任務」でクラス会に出席する羽目になった少佐、行きたがらない気持ちもわかるが、迎える方も大変らしい。
恐れられつつも好かれていると思っていたのだけど、それはそれ、か。
「特別休暇命令」では少年クラウス、青年クラウス+サッカークラウスとおいしいカットが盛り沢山。
特に6巻29ページの「西館のクラウスといえば」のカットが素敵。

案の定クラス会でも浮きまくりの少佐だが、普段普通に接している部下たちや部長、伯爵の凄さも再認識。
実際目の前にいたら怖いよ、きっと。
「戦車が服着てすわってる」少佐だもん。

執事さんにかこつけてクラス会から逃げ出す少佐、でも本音を言えば初恋の女性、シスター・テレサに会いたいんだなあと胸がきゅんとなったところで無情な?現実が少佐を待ち受ける。
「初恋は思い出のままがいい・・・。」
「初恋のお姉さん」は長い年月を経て「初恋のおばさん、いえおばあさん」に変化。
だるだる体型も好きな女性(ひと)なら許せるらしい、私は?駄目(涙)。

それでも内面は昔のままのシスターに、少佐も切なげな表情になる(42ページ)。
それを見るこちらも再び胸がきゅんとする。
お土産の揚げたジャガイモ(それも山ほど)を食べつくし、そっちも切なげな少佐だけれど、それでもやっぱり初恋は大切。
シスター系には「異常に」優しい少佐の過去が、今明らかに。

ホテルに帰って通常モードに戻った少佐は電話した部長の言葉におかしなものを感じる。
見てはならないものを見て、聞いてはならないものを聞いてしまった部下Aを締め上げて、遂に暴かれる部長たちの陰謀。
被害者は少佐を落とすために緑のたぬきが放った美女とエロイカもどき。
超特大のジャガイモ付き「フン」と一緒にぼこぼこに。

確かにシスター・テレサとは真逆な派手系美女も嫌いだろう。
これが仔熊のミーシャなら、憂いを含んだドイツ系美女をシスターに化けさせて送り込むところだろう。
そんなところがいかにも間抜けな緑のたぬき、「さすが鉄のクラウス」と感心したところで「無能!」と罵られてシベリア送りに。
でもなんとなく愛嬌があって好きなキャラだった。
また出て来て欲しかったのだけれど。

陰謀の張本人の部長にも怖い怖い後日談が待っているのだけど、それは次回「グラス・ターゲット」にて。
今回の騒ぎもうやむやになるほど強烈な個性の「あの人」が遂に登場する。
しかも緑のたぬきとは異なり、未だに登場し続ける。
明るく、煩く、おちゃらけて(笑)。

初登場時「かっこいい」と思ってしまった私、脳の中でその時何が起こっていたのか。
ジェイムズ・ボンドに脳内変換されてたのか。
未だに謎である。
(2007年11月2日の日記)
10月5日 少佐の初恋 「特別休暇命令」感想1
子供の少佐、青年少佐、サッカー少佐、服脱ぎ少佐@喧嘩中、少佐の初恋想い人まで堪能できるおいしいおいしい番外編。
少佐の上司の部長と人事部長と経理課長が3人揃えば、華麗な「アンノン」的「ハーレクインロマンス」花開く。
さすがにこんなエピソードだと、仔熊のミーシャや伯爵の出番はないか。
(伯爵もどきは出てくるけれど)。

名づけて「少佐を学生時代をギムナジウムで過ごした南ドイツの森あり湖あり古城ありの静かな保養地に休暇旅行に出し、旅情に浸ってややメロウな気分になったらクラス会に出席させて旧友たちの家庭を持った姿にしみじみと己の人生を考えさせ、旅情と感傷でメランコリックになった少佐の前に心やさしき美女一人登場させ、旅の開放感で恋のアバンチュールを楽しませ、暖かい家庭を持たせることによって少佐の仕事に向ける精力を分散させよう」大作戦。

うまくいきっこないのはお約束だが、少佐がどんな反応を見せるか、ドキドキしながら読んだっけ(笑)。
今時「メランコリック」なんて言葉も変換されず、「目蘭子リック」なんて出たのはご愛嬌。
そこにKGBから派遣されたコードネーム「緑のたぬき」なんて間抜けなスパイも絡んで来て、話をいっそう盛り上げる。

ちなみに「赤いきつね(マルちゃんのお揚げが乗ったきつねうどん)」と「緑のたぬき(同じくマルちゃんの小エビたっぷりの大きな天ぷらが乗ったたぬきそば)」って今もあるのかな?って「東洋水産のホームページ」を覗いてみたら、なんと「黒い豚(カレーうどん)」とか「紺のきつね(きつねそば)」なんてのもあってびっくりした。
そっか武田鉄矢さんが出演しているCMはこれだったか。
武田さんのインパクトが強過ぎて、何のCMだったか忘れていたよ。

この「緑のたぬき」が勝手に盛り上がっては少佐に置いてきぼりにされ、「さすが鉄のクラウス」と感心する場面が好き。
結局無能がばれて、シベリア送りになったけど、少佐の部下Bとロレンスとジェイムズ君と緑のたぬきを3で割った性格の私としては好感度大なキャラ。
この後、「笑う枢機卿」では有能な「赤いきつね」が登場するが、先に緑のたぬきが出てきたのはとっても変だと思ったあの頃。
(私は蕎麦よりうどんが好きだったので、赤いきつねの方がメインのキャラ=商品だと思ってたし、売れてるに違いないと思ってたし。)

さて、部長たちの「少佐を学生時代をギムナジウムで過ごした―(以下略)」大作戦、改め「少佐のマイホームパパ大作戦」を立ち聞きしてしまった部下A&B。
少佐が落ちるか否かの賭けを、するわけもなく(今ならきっとやっているはず)、見て見ぬふり、聞いて聞かぬふりを決め込むことに。
なにしろアラスカ帰りだし。

何も知らない少佐は「任務」と心得て休暇旅行に出発する。
さりげなくシスター・テレサと「揚げたジャガイモ」に関する会話が執事さんとの間で交わされるのがいい。
さりげないふりをしながらドキッとしたかな?少佐。
でも一応ポーカーフェイス。
少佐が尼僧に弱い理由が、今明かされようとしている。

少佐の休暇はサバイバル。
長いドライブの翌日は売ってる新聞全部買い込み、一日ジョギング、さすが鉄のクラウス。
でもここでマナー違反しちゃうあたりが、まだのどかな時代だったのか。
少佐に最後までついてったKGBがちょっとだけ部下Hっぽいのもご愛嬌。

美しい古城も「ガキの頃から住んどる」から「見あきた」ってさすが鉄のクラウス。
こうして少佐の休暇の2日目も無事終わるのであった。
(2007年10月5日の日記)

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